パジャマに着替えて…サボテンの味

2022.07.11

パジャマに着替えて…サボテンの味

あっという間に梅雨が明けてしまったこの夏、二十四節気は小暑(しょうしょ7月7日)を迎え、いよいよ夏本番となります。七十二候もいかにも暑く、温風至(あつかぜいたる7月7日~11日)、蓮始開(はすはじめてひらく7月12日~16日)、そして、鷹乃学習(たかすなわちわざをならう7月17日~22日)と続きます。気温はどんどん高くなり、天気の急変をもたらす暖かく湿った風が吹き、水辺の早朝には、清らかな蓮の蕾が開き、初夏に殻を破った鷹の雛が飛び方を覚えて、夏空への巣立ちに備えるという、気候と動植物の変化の頃となります。

朝顔まつりや、ほうずき市、そして祇園祭や、ねぶた祭など、各地で風物詩となる祭りの多い頃でもあります。夏休みまでもう少し、真夏の訪れに楽しみな時でもありますが、まだまだ暑さに慣れず、体に熱がこもることで、汗は出ていても潤い不足となり、肌の乾燥や寝汗、のぼせ、などを覚えることがあります。過剰な熱を冷ます食事を心がけましょう。

この時期の優秀食材はオクラです。オクラに含まれるぬめりの成分は、ペクチンなどの食物繊維で、胃腸の粘膜を保護し、消化不良や便秘の改善へとつながります。さらに、たんぱく質吸収を促進する働きもあるため、夏ばて予防にぴったりです。

食べ方もいろいろ、生で刻んだオクラに擦りゴマと、お好みの薬味、ミョウガやショウガなど、を入れ、ポン酢醤油やオリーブオイルなどで味を調えます。お好みで、最後にオメガ3豊富なエゴマオイルやアマニオイルも少しだけ入れても良いですね。こちらはご飯や素麺にかけたり、冷しゃぶや冷たいパスタの味付けなど、万能、夏の一皿です。また、熱を入れても大きく栄養が壊れないので、ガンボスープや炒め物も。エダマメ同様、ペペロンチーノもお勧めです。

オクラの季節になると思い出すのは、メキシコの味、ノパレスです。ノパレスはウチワサボテン科のその名の通り、うちわの様な平べったい丸い形をした食用サボテンです。とはいえ、メキシコといえばサボテン、と思い出すぐらいですから、少し車で走れば、道の両脇はこのサボテンがたくさん生えています。スーパーマーケットの野菜売り場には、皮むきでとげをきれいに取り去られたノパレスが積み上げられ、1枚100円ぐらいで手に入ります。どうやって食べるのか、どんな味なのか興味津々でしたが、とにかく、すぐに挑戦。味と香りはアロエとオクラを合わせたような青い爽やかさで、多肉質植物のゼリー状の部分の食感は良く、粘りも強く、本当にちょうどオクラのよう。酢の物にしたり、刻んで鰹節と和えたり、バター醤油ステーキにしたり、と、和食アレンジでいろいろなものに使える食材として、重宝しました。

更に、この季節にしか食べられない、このサボテンの実、トゥナ、も懐かしい味です。キウイフルーツぐらいの大きさで、もう少し緑がかった色をしていて、半分に切ると、果肉はうっすら赤く色づいた白色で、種がいっぱいあります。その種も一緒に食べてしまうのですが、瑞々しい爽やかな甘さで、懐かしい夏の食べ物の一つです。盛夏の砂漠、そこで生きる動物や鳥達にとって、この実はオアシスだったに違いありません。

と、ここのところの暑さが、また、メキシコへの懐古心を刺激します。さらに、先日「FLIDA」という、メキシコのもっとも有名な女流画家、フリーダ カーロの半生を描いた和製ミュージカルを観たばかりです。彼女の激しく、必死に生きた日々を歌い上げる舞台に、メキシコの暑い風が蘇りました。彼女の絶筆には、真っ赤なサンディア(スイカ)に「VIVA LA VIDA」と残されています。フリーダの、一生、真夏の様な人生を生きるとは、こういうことなのだな、と思った日でした。

空はすっかり夏の色。今日は夏休みを象徴するような入道雲も見ました。真夏の暑さの始まりに、萎えそうになる日々ですが、暦は大暑へと続きます。皆様、しっかり食べて、しっかり寝て、しっかり汗をかき、元気に過ごしましょう。

メキシコの濃い青空を想像して、今夜もぐっすりお休みください。

 

染谷雅子

 

ガラス作家・アロマセラピスト 染谷雅子
ギャラリーはなぶさ https://www.hanabusanipponya.com

作品写真は「そらいろ」

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