パジャマに着替えて… 薔薇色の日々

2022.05.23

パジャマに着替えて… 薔薇色の日々

家から一歩外に出れば、目に飛び込む木々の葉や路地草の濃い緑。陽が差せば、その緑の濃淡がゆらゆらと揺れて木漏れ日を作り、風が吹けば、さわさわと心地よい葉擦れの音を作る。この季節、自然の活気や精気が満ち満ちる様子は、その色の種類はどれだけあるのだろう思うほどの、緑の変化で感じます。二十四節気は小満(しょうまん5月21日)を迎えました。七十二候は蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ5月21日~25日頃)、紅花栄(べにばなさかう5月26日~30日頃)、麦秋至(むぎのときいたる5月31日~6月5日頃)と続きます。自然界の熱量が満ちた大気のなか、絹を生み出す蚕は桑の葉をもりもり食べて成長してゆき、大地には、布を紅(くれない)に染め上げる、紅花が咲き揃い、また、畑では麦が実り、収穫の頃を迎える、そんな候となります。

その夏の活力を、体に上手に取り入れましょう。すくすくと伸びる草木のように熱量を摂取して、植物のように成長したいものですが、過ごしやすさも助けになり、無理をしてしまいがちなこの頃です。気付かぬうちに、心身疲労となって体内に蓄積されないように、短い時間で良いので、軽い有酸素運動を取り入れて、余分な水分を排出しながら、心身疲労も解消しましょう。就寝前や起床後のストレッチ運動も効果的です。また、食生活も夏野菜を上手に取り入れて、水分代謝を心がけましょう。この時期は、引き続き、サヤインゲンやグリーンピースなど豆類や、アスパラガスやカボチャなどの緑黄色野菜が旬となります。また、いよいよ夏本番のトマトやキュウリなども美味しくなってきて、生野菜のサラダが美味しい季節になります。

草木の緑も美しいですが、一面咲きそろう紅花のように、緑の中の花々の美しさもこの時期の楽しみの一つです。ツツジが終わると、いよいよバラの出番です。あちらこちらのバラ園で、我こそはと咲き誇り、それぞれ、自信たっぷりに、すっくと麗しく立つ大輪のバラ。また、小さな花弁を可憐に揃え、おしゃべりをしているように次々と蕾を開かせるツルバラ。どちらも、それぞれ魅力的です。我が家の庭にも何種類かのバラが咲きますが、みなそれぞれが個性的で、一所懸命に自己主張をしているようで、飽きずに眺めていられます。

バラの歴史は古く、紀元前から人々はバラを特別な花として、珍重していました。より美しく、鮮やかに、大輪の…と、品種改良が重ねられ、19世紀にはすでに3000品種以上存在したそうです。また、精油も花同様に好まれ、特に水蒸気蒸留法で抽出されたローズアブソリュートは香水の原料として、副産物として生成されるローズウォーターは化粧水や飲料として、昔から高価な取引をされていました。今でもバラの精油は高価なもので、その美容効果を期待され、香水や化粧品に使われていますが、10mlの精油を抽出するのに、約1㎏の花びらを使うそうで、自然の賜物であることを改めて思います。

日本自生のバラも多く、ノイバラやハマナスなど古くから歴史に登場しています。さらに、モッコウバラやコウシンバラなどが中国から渡来して、江戸時代以降日本でのバラの栽培が盛んになりました。明治以降、欧州からバラ苗を取り寄せ、品種改良や栽培が始まり、貴族や華族の庭を飾るようになります。一般家庭でバラを育てるようになるのは大正時代以降のことです。そんな数千年の歴史を経て、私の庭にもバラたちが微笑んでいます。

黄色いバラがとても好きです。なにか、他のバラと違う、気品というか、孤高というか、特別な感じがするのです。黄色いバラの誕生は、品種改良を重ねてフランスで1920年、と、歴史はそんなに古くないのです。昔の人も、手元にない、違うもの、新しいものを求める欲求は強かったのですね。ちなみに、黄色いバラの花ことばは「友愛」「平和」「献身」などです。庭で、ローズティのカップを片手に、バラを飽きず眺めながら、時間を忘れて過ごす・・・、そんな、日々が穏やかに続きますように、と、願います。

 

そして、今夜もバラ色の夢が見られますよう、ぐっすりお休みください。

 

染谷雅子

ガラス作家・アロマセラピスト 染谷雅子
ギャラリーはなぶさ https://www.hanabusanipponya.com

作品写真は「黄色い薔薇のランプ」

この記事をシェアする