二十四節気、春分(しゅんぶん3月20日)は、昼と夜の時間が等しくなる日。春の気配が満ちて、花々が一斉に開き、光が柔らかく満ちる、まさに、春爛漫という言葉がぴったりです。七十二候は、小さな営みが再開され、春の生活の息遣いが始まる頃、雀始巣(すずめはじめてすくう3月20日~3月24日頃)、春の象徴、サクラの蕾がほころび始める頃、桜始開(さくらはじめてひらく3月25日~29日頃)、春の大気が動き、雷が鳴り始める頃、雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす3月30日~4月4日頃)、と続きます。いよいよ季節は活発に動き出し、自然の営みを促すように「催花雨」と言われる、花の開花を促す雨が降り、遠く春雷が聴こえる。そんな、この季節を表す候です。

そんな、病気未満、何となく調子がでない状態に、精油は寄り添ってくれます。精油を使ったアロマセラピーの源流はとても古く、古代文明の「香の知恵」から始まり、古代エジプト、ギリシャ、ローマ、インドなどで、香りの植物を生活や儀式に使っていたことに遡ります。中世からルネサンス時代に蒸留技術が発展し、植物からの香りの成分を抽出する方法が確立されます。現代の精油(エッセンシャルオイル)の原型です。生活の中で香りを楽しむこと、けがや病気などの対応に広く使われるようになりました。
そして、1920年に、フランスの科学者モーリス・ガットフォセが実験中の火傷にラベンダー精油を使った経験から、植物の香り成分の力に注目し「アロマセラピー」という言葉を初めて用いたとされています。その後、医師や看護師、植物療法家たちが研究を重ね、ヨーロッパを中心に広がりました。
現在、日本でのアロマセラピーは医療行為ではなく、香りを楽しみながら心身を整える民間療法として親しまれています。
好きな香りを選ぶ時間は幸せな時間です。アロマセラピーを学び始めた頃は、こんなにたくさんの精油が存在するという事実に驚くとともに、それぞれの精油の個性と、その作用や植物の歴史などを学ぶ毎に、それぞれが愛おしく、どの香りも好きになってしまいました。更に学び続け、匂いの識別ができるようになってくると、不思議なぐらい、その時の自分に必要な精油の香りが際立ち、選んでしまうのです。いつもは気に留めない香りが今日はやけに気になる、とか、大好きな精油なのにあまり気持ち良くない、など。不思議です。そんなふうに、精油は必要な時にいつも寄り添ってくれるので、今では欠かせない、大事な相棒です。

インド北東部アッサム地方を中心に自生していた柑橘で、東南アジア、中国へと伝わっていきました。中国で発展したマンダリンは多くの品種が生まれ、生活文化の中で重要な果物となりました。マンダリンの名前の由来は、中国清朝の官僚(マンダリン)の衣服の色に由来すると言われています。
その後、ヨーロッパからアメリカへ伝わり、世界各地で多様なマンダリ品種が生まれますが、日本へは中国から伝わり、江戸時代にはマンダリン系の「温州みかん」の生産が定着します。日本では、この温州ミカンの皮を乾燥させて作る陳皮(ちんぴ)が薬草として使用されていました。
この甘く軽やかで爽やかな柑橘の香りは、緊張を緩め、気持ちを明るくすると言われ、春の自律神経の揺らぎを整えてくれます。また、胃のこわばりを和らげ、消化を助けてくれる香りとしても親しまれています。
気を付けることは、精油全般に言えることですが、特に柑橘系の精油は刺激になることがあるので、直接肌にはつけないことです。
お勧めは、アロマポットなどを使ってお部屋で香りを拡散したり、ハンカチなどにつけたりして、香りを楽しんでください。
前出のラベンダーなどともとても相性が良い精油ですので、ブレンドして使っても楽しいです。

春の揺らぎに寄り添う精油、是非、お試しあれ。
皆様はマンダリンの香りに何を思うでしょう?
そして、明日はどんな香りと出会えるでしょう。
どうぞぐっすりお休みください。
染谷雅子

ガラス作家・アロマセラピスト 染谷雅子
ギャラリーはなぶさ https://www.hanabusanipponya.com
作品名:「 ナイトアロマランプ さくら 」

