春そこまで   ~ 立春 ~

2021.02.15

春そこまで   ~ 立春 ~

立春。二十四節気の最初の節となり、春を迎える時。

とはいえ、まだ寒さは厳しく、冬の風や雪の便りもしばしば届きます。

七十二候は「春風氷を解く」。

でも、朝はきらりと氷が光ります。

 

子供の頃のこと、登校の道すがら、厚く凍った氷をつまみ上げ、朝の陽に透かしました。氷の中で分散する光の粒と、通過して地に届き影をも作る陽光、額縁は青空、そして、母に編んでもらった赤いミトンとその指先の冷たさは、子供ながらに小さな自然に感動した瞬間として、この季節の朝の空気の匂いと共に、五感に蘇ります。

 

それが原点、とは申しませんが、光越しのガラスが大好きです。

 

いろいろな色や内容物によって、また、季節や時によって、ガラスを通す光の屈折や現れる模様は様々で、その刹那の美しさが好きです。

 

大好き過ぎて、ガラスの仕事をしています。

 

ステンドグラスを中心に、ガラスを使った、世界で一つだけを大切にした、装飾品や生活雑貨を製作している、染谷雅子と申します。また、アロマセラピストとして、アロマセラピーのある暮らしをお勧めしています。ご縁あり、このネルマガでコラムをお届けすることになりました。どうぞよろしくお願いします。

 

豊かな自然の中で続いている日々に起こる小さな変化を、人々は折々に気づき、生活の知恵として生かしてきました。

 

もともとは古来中国で成立したものですが、1年を24に分けて二十四節気とし、さらに、ひとつの節気の中を3つに分け、その期間に起こりうる自然現象を表す七十二候という暦があります。現在の暦とは少し違いますが、その、哲学は今でも季節を知る導となり、生活の彩となります。

 

長く生きてきて沢山のことをそれなりに越えてきた私ですが、日々は楽しく、少しでも心持ち良く過ごすことを思っています。大げさなことではないのです。自分の好みと体に  合う服を着て、良い食べ物を食し、心地よい空間を整えて、季節ごとに衣食住を充分楽しむことを目指しています。その楽しみ方の一つとして、二十四節気七十二候を気にしてみませんか?五感を研ぎ澄まし、趣味のように衣食住を嗜む…、そんなふうに皆さんと一緒に過ごしたいと思います。

 

この立春の節には、前出の「春風氷を解く」と「鶯鳴く」、「魚は氷を出」、という候が続きます。

 

少しずつ、水が動き出す準備期間です。体の水もそう。滞ることなく、冬に寒さを乗り切るために溜めた老廃物を、さらさらと流しましょう。水はもちろん、空気や気分、状況なども、停滞させることなくさらさらと。初春の散歩は寒さで凝った体をほぐして、体の水を動かしてくれます。

 

梅の香りに誘われて出かけてみれば、どんなことがあっても自然の時計に目覚める力強さが健気な、梅のつぼみや木々の若芽に出会えて、冬を破る生命力に心打たれると共に、当たり前のことだけれど、人も自然よね、と、心にも春の準備が届きます。そして、体を動かすことで、良い眠りも得られます。

 

心地よい寝具と暖かい快適な眠りで、季節の変わり目に充分に身体をいたわって、寒さの中の春の予感と、春への気持ちの変化をお楽しみください。

 

皆様と、健やかな春を。

 

ガラス作家・アロマセラピスト 染谷雅子
ギャラリーはなぶさ https://www.hanabusanipponya.com

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