パジャマに着替えて…  菜花を食す

2023.04.03

パジャマに着替えて…  菜花を食す

二十四節気は、迎える清明(せいめい4月5日)。なんと清々しい響きでしょう。清く明るいという、透明な春の日差しや、若い緑を潤わせる春の雨を思い起こさせる響きです。今年、関東地方の桜は満開の時期を冷たい雨で過ごしました。咲き誇る桜を見ながら、残念な気持ちもありましたが、瑞々しく春雨滴る桜の花は、それもまた美しいもの。そして、今日は久しぶりの日差しの中で、雨が降り続いても咲き耐えた桜は、あちらこちらで絶え間なく花びらを散らし続け、飽きることなく見続けられる景色でした。どんな空間や条件でも毎年咲き始めから散るまで、すべての姿が麗しい桜に改めて思いを寄せた今年の春です。

桜

七十二候は、玄鳥至(つばめきたる4月5日~9日)、鴻雁北(こうがんかえる4月10日~14日)、虹始見(にじはじめてあらわる4月15日~19日)と続きます。東南アジアで越冬したツバメ(玄鳥)は日本にやって来て、反対に、日本で越冬したガン(雁)が北へ飛び去り、その鳥たちが飛ぶ潤いが戻った空には、雨上がりに虹が見えることが多くなってくる、そんな候となります。

虹

季節は春へと移りましたが、気候は不安定で気圧の変化も大きく、頭痛や肩こり、睡眠障害、食欲不振、消化不良、などの不定愁訴が出やすくなります。外界の変化に伴い、身体は合わせようとすることで、交感神経と副交感神経の均衡が崩れ、自律神経の乱れにつながるためです。これから気温がだんだん高くなることに、身体が素直に反応できるように、活動量が増えて代謝が活発になるこの時期に、解毒を意識して余分な老廃物を出しましょう。水分をしっかりとって、ストレッチなど負担にならないような運動を適度に取り入れ、睡眠時間を充分に摂ることが大事です。

お茶

この時期の旬野菜は解毒に大活躍、特に旬の山菜。ほろ苦い味わいがある山菜ですが、この苦味の成分のひとつに植物性アルカロイドという成分があります。強い抗酸化作用があり、腎臓のろ過機能を活性化させて、老廃物を身体の外に出す働きがあります。ぜひ、毎日の食卓に積極的に取り入れてみてください。また、ほうれん草、小松菜、明日葉、春菊、新玉ねぎ、等々、山菜を含む春の旬野菜には解毒に有効な優秀食材がたくさんあります。

山菜

そして、もう一つの食材は味噌です。味噌は発酵食品として、麹菌が摂れるだけではなく、大豆油来の栄養も摂ることができるので、野菜と組み合わせることで、栄養バランスの良さと同時に、解毒を促す食事ができます。販売されているものには加熱処理により発酵を止めてあるものもありますので、麹菌が生きている「生みそ」を選んでください。

味噌

ということで、野菜とお味噌と言えば、味噌汁です。ふきのとうやこごみ、たらの芽などの山菜を使えば、前出の苦み成分により、肝臓や腎臓の機能強化や味噌が持つ麹菌の整腸作用が期待できます。あまり火を通し過ぎないことが大事です。

新玉ねぎを使えば食物繊維やオリゴ糖などの腸内善玉菌を増やす成分が豊富ですので、腸内環境改善へもつながります。

味噌汁

お勧めは、春のこの時期、桜と景色を二分する、今が旬の菜の花です。

菜の花にも食物繊維がたっぷり含まれています。そして、何より、カリウムが多く含まれているので、体内の余分な塩分が排出され、腸内環境を整え、解毒作用もあるという、優秀な食材です。

味噌汁はもちろん、オリーブオイルや乳製品、様々な食材や香辛料とも合わせやすいので、パスタやサンドイッチ、シチュー、サラダなど洋風惣菜もいろいろできそうです。楽しそうですね。ぜひ、挑戦してみてください。

季節の食材を、きちんと美味しく食べて、必要ないものはきちんと排出して、健やかな春を謳歌しましょう。

菜の花のパスタ

菜の花と言えば、その昔のこと。近くの土手いっぱいの黄色いじゅうたんの中、その青空と菜の花の色のまぶしい対照に立ちすくんでいました。たまたま、その土地の持ち主が通りかかり、「良かったら、持って行っていいわよ」と声を掛けられ、両手いっぱいに抱えるほどの菜の花を摘みました。その花束を持ち帰り、大きな花瓶に活けて、数日間楽しみました。この季節になるとあの時の土手の映像が蘇ります。

菜の花畑

花を摘んだ後でも、まだまだ延々と続く菜の花の土手で、大きな花束を持った花盗人のなんとなく誇らしい気持ちを思い出しながら、そろそろ眠りにつきたいと思います。

今夜もぐっすりお休みください。

 

染谷雅子

 

 

ガラス作家・アロマセラピスト 染谷雅子
ギャラリーはなぶさ https://www.hanabusanipponya.com

作品名:「さくら」

ガラス作品_さくら

この記事をシェアする