パジャマに着替えて…ナイトキャップの行方

2022.11.21

パジャマに着替えて…ナイトキャップの行方

小春日和の陽だまりに、これからの集いの時に思いを馳せる、初冬の午後。そんな、暖かい日と寒さ厳しい日を繰り返し、冬は深くなってゆきます。二十四節気は小雪(しょうせつ11月22日)を迎えました。七十二候は、虹蔵不見(にじかくれてみえず11月22日~26日頃)、朔風払葉(きたかぜこのはをはらう11月27日~12月1日頃)、橘始黄(たちばなはじめてきばむ12月2日~6日頃)、と続きます。冬空に近づき、太陽が低くなる曇り空には虹を見ることが少なくなり、冷たい北風は木々の葉を吹き払い、地面には枯れ葉が舞うなか、常緑樹である橘は冬も青葉を保ち、その実が色づく。そんな、初冬の風情を感じる候となります。

橘

気候の変化と寒さに対応しようとして、体温調節をしている身体は熱量を大きく消費します。そのことは自律神経の均衡を崩しやすくなることにもなります。自律神経の乱れから、精神疲労につながり、今一つ元気が出ない、また、食欲が湧かないなどの症状が現れることになります。そんな疲労状態が続くと、体は危険信号としてストレスホルモンを分泌しますが、過剰分泌されると副腎に負担がかかることになり、結局ストレスに対抗できなくなってしまいます。これを防ぐためには、ホルモンの材料となる良質のたんぱく質や脂質を取り入れましょう。

鶏むね肉は必須アミノ酸が豊富に含まれるたんぱく源ですので、そんな疲労時の体力回復にぴったりです。鶏出汁と鶏肉を使った玄米がゆや、炊飯器で簡単に作れるタイの鶏炊き込みご飯、カオマンガイなど、手軽に作れて、体が温まる食事がお勧めです。

カオマンガイ

冷えによる精神疲労を起こさないように身体を冷やさないようにすること。「温める」がこの季節の大事な言葉の一つになります。日中は、着る物の調節などで、まわりの温度変化と自分の感覚の差をこまめに調節することができますが、睡眠時にはその調節ができません。でも、実は睡眠時の体温の変化は最低体温と最高体温の差が1℃近くあることが多いのです。睡眠時間が進むと深部体温は低くなります。その準備として、手足の皮膚血管が開き、熱が逃げてゆくので、眠たくなると手足が暖かくなるのです。そして、眠りにつくと、だんだんと体内温度が下がり、昼間に働いた脳の内部の温度も下がり深い眠りへとつながります。身体の疲労と脳の疲労を回復させることが睡眠なのです。

ご承知の通り、1℃違うと、普段外出時には薄物を一つ羽織るかどうかと考える温度差です。睡眠時の体温変化にどれだけ対応できるか、ということが眠りの質に影響するので、眠りの環境を整えることは、おろそかにはできないことなのです。寝具や寝巻の選択はその一つで、天然の素材で、保温効果はあるけれどその熱を閉じ込めない性質があるもの、綿や絹素材などは最適といえます。

ガーゼケット

子供の頃の寝室はもっと寒かったような記憶があります。電気毛布もないし、夜中に暖房器具を使用するなど、常識ではありませんでした。夜、目が覚めると鼻が冷たくなっていたことを思い出します。子供の頃は母が作ったナイトキャップをかぶって寝ていました。季節により素材や柄が変わっていたので、いくつか持っていたことを覚えています。一番好きだったのは、小花の刺繍があしらわれた、クローバーハットといっていた、ナイトキャップです。4枚のハートの形を四葉クローバーのように組み合わせ、そのハートのとんがった部分だけがてっぺんでつながっていて、ハートの上の部分にはそれぞれ紐がついていて、それを縛って、帽子型にするのです。きっと、夜気で冷えた子供の頭を触った母が、良く眠れるようにと、作ってくれたものだったのだと思います。ハート部分の紐の結び方で、大きさの調節ができるので、学生時代ぐらいまではカーラーを巻いて寝る夜などに使っていました。随分調べてみましたが、クローバーハットは、私の記憶とは違うもので、あれは母の思い付きで作ったものなのかしら?

寝ているこどもとベッド

寝る間際の凍える月に、思い出した母のナイトキャップ。今はナイトキャップを被りませんが、温かくしてそろそろ眠りにつきたいと思います。

今夜もぐっすりお休みください。

 

染谷雅子

 

 

ガラス作家・アロマセラピスト 染谷雅子
ギャラリーはなぶさ https://www.hanabusanipponya.com

作品名:「アロマナイトランプ」 ガラス作品_アロマナイトランプ

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